◇日本から南アフリカの路上コインに着陸するようなもの 沈滞し自信喪失気味の日本と日本人に、久しぶりの興奮と感動、自信を与えてくれたのは、あの「はやぶさ」の帰還劇だろう。 宇宙航空研究開発機構(JAXA)と日本電気(NEC)などが、打ち上げた小惑星探査人工衛星は、地球から約3億キロも離れた小惑星イトカワに到着し、その惑星の地表にある物体(試料)を採取して帰還したのである。 イトカワの大きさは直径540メートル、高さ200メートル弱程度のジャガイモ状のような本当に小さな惑星で、火星の軌道をまわっているという。そのイトカワにはやぶさが到着するのは、「いってみれば日本からワールドカップを行っていた南アフリカの地上にある一つのコインに着陸するようなもの」(遠藤信博NEC社長)というから、まるで奇跡のような出来事と技術といえる。しかも今回の「はやぶさ」の使命は、ただイトカワに到達するだけでなく帰還する