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ブックマーク / diesixx.hatenablog.com (9)

  • 『悪魔のいけにえ』(トビー・フーパー) - Devil's Own

    The Texas Chain Saw Massacre/1974/US あまり怖いものが得意ではない恋人が『悪魔のいけにえ』の爆音上映に付き合ってくれた。「ほんとうに大丈夫?」と何度か念押ししていたけれど、見終わったあとは案の定青ざめた表情で「怒らないで聞いてほしいんだけど…苦手」と肩を落とした。そうだよなあ、そうなるよなあ。でもなんだかはっとさせられもした。くりかえし見ているうちに、すっかり忘れてしまっていたけれど、私も初めてこの映画を見たとき、安酒を飲み干したような激しい悪寒と吐き気に襲われたのだった。『悪魔のいけにえ』の今日的な評価とか映画史的な位置づけなど知ったこっちゃない人間の、ごくまっとうな反応に触れたことで、この映画がほんらい持っている「毒」を思い出した。 『悪魔のいけにえ』の魅力を伝えることは難しい。私も好きな映画について、へたくそなりに言語化しないと気が済まないたちだけ

    『悪魔のいけにえ』(トビー・フーパー) - Devil's Own
  • 『リアル〜完全なる首長竜の日〜』(黒沢清) - Devil's Own

    "Real"2013/JP ミスチルの主題歌が流れる予告編を見るたびに「当に黒沢清の新作なのか」と半信半疑だった。しかも予告編を見る限りすごいつまんなそうだったし「綾瀬はるかさんの壊滅的なフィルモグラフィーを前に黒沢清も敗北してしまうのか」なんてなめたツイートまでして…お恥ずかしい。予告編に踊らされていたのは私なのだった。ふたを開けて見れば、どこを切ってもまぎれもなく黒沢清の映画だったのに。間に『贖罪』という驚異のテレビシリーズを挟んだとはいえ、劇場公開新作としては『トウキョウソナタ』以来5年ぶりである。5年の間、私は社会人になり転職し、恋人まで変わった。いったい日映画界は何をしていたのか。 自殺をはかり昏睡状態に陥った恋人を救うため、主人公の青年は最新医療で彼女の意識に入り込む。一見ロマンチックな行為のようだが、そもそも恋人の頭の中に入り込むというのがどうかしている。原作では姉弟ら

    『リアル〜完全なる首長竜の日〜』(黒沢清) - Devil's Own
  • 『マン・オブ・スティール』(ザック・スナイダー) - Devil's Own

    "Man of Steel"2013/US 更新が空いてしまったが、夏休みシーズンに公開された「下敷きほしくなる系」の大作は一通り見た。わけても一番面白かったのは、スーパーマンの物語をクリストファー・ノーラン製作、ザック・スナイダー監督でリブートした『マン・オブ・スティール』だった。ノーラン製作のハードかつ「リアル」な方向性に当初は不安もあった。なにしろ私にはジョン・ウィリアムズのあのテーマ曲のないスーパーマンなど考えられなかった。評判の悪い『スーパーマン・リターンズ』ですら、墜落する飛行機を救う場面であのメロディが流れるだけで愛せてしまうくらいである。そういう人は多いとおもう。だが、まったくの杞憂だった。これまた評判の悪い『エンジェル・ウォーズ』を偏愛する私の意見など何の参考にもならないとおもうが、作はスナイダーの最高傑作と言っていい。いや、彼のフィルモグラフィーのみならず、ここ数年の

    『マン・オブ・スティール』(ザック・スナイダー) - Devil's Own
  • 『SUPER 8/スーパーエイト』(J・J・エイブラムス) - Devil's Own

    "Super 8"2011/US ネタバレエイトです。 J・J・エイブラムスの最新作『Super 8』は、傑作と言ってしまっていいと私個人はおもっている。ただ、今この作品についてさまざまな言説が提示されることにどうも収まりの悪さを感じてしまうのだな。私たち大人がいろいろと感想を述べたとしても、10年後には今の子どもたち世代によってすべて塗り替えられてしまうのではないか。いやむしろそうであってほしい。映画館の暗闇の中で息を殺して『Super 8』を見つめ、胸のふるわせた体験をいつまでも大事にしていてほしいんだよ。7歳のとき映画館で『ジュラシック・パーク』を見たときのばくばくと波打つような心臓の鼓動を私は今でも覚えている。『ジュラシック・パーク』が当時の大人たちにどんな評価を受けていたか調べたこともないし、正直どうでもいい。そういう映画であってほしいんだよ。 ダイシックスはまた自分に酔っぱらっ

    『SUPER 8/スーパーエイト』(J・J・エイブラムス) - Devil's Own
  • 『風立ちぬ』(宮崎駿) - Devil's Own

    "The Wind is Running"2013/JP ここ数週間、映画を見に行けば、ほとんど強制的に『風立ちぬ』の予告編を見せられたわけだが、それでも4分間の映像には並々ならぬ力を感じずにいられなかった。矢も盾もたまらずひさしぶりに公開初日に早起きして映画館に向かったのだった。結論からいうと私は『風立ちぬ』という作品の魅力がいまいちわかりませんでした。わからなかったのだけど、今後2度、3度と見るうちに何かが印象が変わるかもしれないという気もしている。とりあえず今の感想を書き留めておきたい。 『風立ちぬ』はゼロ戦の設計で知られる堀越二郎の半生に堀辰雄の小説『風立ちぬ』の物語を交えたフィクションです。小説『風立ちぬ』じたいが堀辰雄の実体験を基にしているので、この映画は同時代を生きたふたりの男の人生を組み合わせた物語といえる。さらにそこには、反戦主義者でありながら戦闘機にどうしようもなく魅か

    『風立ちぬ』(宮崎駿) - Devil's Own
  • 『ヒューゴの不思議な発明』(マーティン・スコセッシ) - Devil's Own

    "Hugo"2011/US-UK あんまり泣いた泣いた書いていると映画ブロガーとしての信用がどんどんなくなっていくのではないか(もともと信用されているのかは置いておいて)、このまま私はAVブロガーとして認識されるようになってしまうのではないかという危惧を感じつつも正直に書くのだがぼろ泣きました。すみません。 『ヒューゴ』はおおかたの予想どおりというべきかジョルジュ・メリエスへのオマージュを主軸とした「映画賛歌」映画だ。最近の映画でいちばん近いのは『SUPER8』だとおもうが、『ヒューゴ』ではさらにストレートに「映画賛歌」のテーマが前景化している。主人公のヒューゴ(エイサ・バターフィールド)とメリエス一家との交流を中心に、映画が始まった最良の時代を思い入れたっぷりにつづっている。受け手のテンションにかなり依存する映画なので、『SUPER8』と同じく評価も分かれてしまうかもしれないが、私が強く

    『ヒューゴの不思議な発明』(マーティン・スコセッシ) - Devil's Own
  • 『アルゴ』(ベン・アフレック) - Devil's Own

    "Argo"2012/US ベン・アフレックの新作。デビュー作からイーストウッドになぞらえられる気持ちはいかほどのものなのかわからないが、これまでの3作品を見る限りアフレックの資質はイーストウッドよりむしろジョージ・クルーニーに近いかもしれない。ものすごい生真面目。イーストウッドはもっと脊髄反射的に映画を撮っている気がする。そんなクルーニーが製作に名を連ねる新作。プレッシャーをものともせず、骨太な快作を撮りあげた。前2作でも見られた70年代映画への傾倒はますます色濃くなっている。ぽつぽつとフィルムノイズのある黒い画面の中にワーナーの旧ロゴが表示されただけで不覚にも胸が高鳴ってしまうのだった。 『ザ・タウン』では銀行強盗や銃撃戦より、ジェレミー・レナーとレベッカ・ホールを交えた会話劇の緊密なサスペンス演出が突出していたが、新作ではこうした手腕が存分に発揮されている。サスペンスに次ぐ、サスペン

    『アルゴ』(ベン・アフレック) - Devil's Own
    palehorse82
    palehorse82 2012/11/02
    制止を振り切るおっさん達に泣けた。(いろんな意味で)
  • 『ダークナイト ライジング』(クリストファー・ノーラン) - Devil's Own

    "The Dark Knight Rises"2012/US ノーラン版「バットマン」の完結編。このブログでさんざん『ダークナイト』過大評価論をぶち上げておきながら、会社を休んでまで先行上映に駆けつけ2回連続見てしまったという。こういうのをツンデレというのか。映画の評判に関しては私の見る限りでは、否定的な意見が多めといったところだろうか。『インセプション』のときもこんな感じだったように記憶している。一応、私のシリーズに対する考えを示しておくと1作目はちょっと退屈、2作目は面白いけど不完全燃焼という感じで、個人的には今作が一番よかった。ノーランのフィルモグラフィの中でも群を抜いて好きな作品になった。 『ダークナイト』はいい意味でも悪い意味でもジョーカー(ヒース・レジャー)ありきで評価を得た映画だとおもう。犯罪映画としては一級品だが、バットマンの物語として見たときにはどうか。市川森一が書いたゼ

    『ダークナイト ライジング』(クリストファー・ノーラン) - Devil's Own
    palehorse82
    palehorse82 2012/07/29
    「ブレイク刑事がバッジを捨てる場面はおそらく『ダーティハリー』への目配せだろう。」
  • 『ソーシャル・ネットワーク』(デヴィッド・フィンチャー) - Devil's Own

    "The Social Network"2010/アメリカ 『ソーシャル・ネットワーク』を見た人となら徹夜で語り合えるね。この映画には、コミュニケーション(=自分とは違う誰かとコミットすること)のうれしさとたのしさが詰まっている。同時に難しさや疎ましさでもあるのだが、その苦味さえも呑みこんで「もっと話そうよ」というポジティヴな気持ちにさせてくれる。こうした気持ちこそがソーシャルネットワークのシステムを支えているし、これまで多くの映画で扱われてきた普遍的な願いでもある。人は人とつながらずにはいられないし、胸の高鳴りに背を向けることができない。祈りのようなラストシーンには魂がふるえたし、コミュニケーションをめぐる希望と可能性がデヴィッド・フィンチャーによって描かれてたことに感動する。この先折に触れて見返すであろうかけがえのない作品になるとおもう。 題材やプロットにおける『市民ケーン』との類似は

    『ソーシャル・ネットワーク』(デヴィッド・フィンチャー) - Devil's Own
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