グリップの本質:自動車と路面の間に起こるマジック グリップがなければ、耐久レース用の自動車は走ることができない。ブレーキはおろかストレートラインすら走ることもできない。レーシングマシンのあらゆる動きは、サーキットとの唯一の接触ポイントであるタイヤによって生み出されるグリップのレベルによって調節される。ポリマー、硫黄結合、弾性率、応力頻度。これらはすべてグリップの本質を理解する専門家にとって見慣れた言葉である。しかし、錬金術にも似た技術の世界においては、これらはかなり単純化された言葉である。タイヤとは、何よりもゴムという成分を含む接地面なのだ。 このゴムは粘弾性物質であり(チューイングガムなどもそうである)。粘性の液体(油など)と弾力性の固体(ばねなど)の間にある変形能を有している。ばねは加えられた力に対して、すぐに比例的に形状を変えるが、粘性の液体は違うふるまいをする。例えばオイルが充填さ