ある技術について初心者向けに説明するときに、喩え(たとえ)を使うことがある。確かに、初めて聞く技術を、知っている身近なものに喩えて説明されると、なんだか分かったような気になる。ただし、こうした喩えによる説明の理解度は、説明する側、される側の両者が思っている以上に浅い。 筆者の経験では、オブジェクト指向を説明する際に用いられる喩えがそうだった。例えば、クラスとインスタンスを説明するのにしばしば用いられる、クッキー(菓子)の型とそこから作られるクッキーの喩え。クラス間の階層関係を表す継承の説明では、動物クラスの子クラスに哺乳類や鳥類のクラスがあり、哺乳類クラスの子クラスに犬や猫のクラスがある、といった喩えをよく聞く。ポリモーフィズム(多態性)の説明は、犬インスタンスに「鳴け」と言うと「ワン」と鳴き、猫クラスに「鳴け」と言うと「ニャー」と鳴きます、と言った具合だ。 オブジェクト指向についてのこう