※この記事は2020年3月に取材・撮影した内容です 「獺祭(だっさい)」という不思議な名の日本酒をご存じの方は多いでしょう。香り高く、口当たりはやわらか。それでいて、飲み口は芳醇。日本のみならず海外でも多くのファンに愛される純米大吟醸です。 この酒を造るのは、山口県岩国市にある旭酒造。現在では日本の清酒メーカーの売上高トップ10にランクインするほど売上を誇りますが、かつては地元の中でも4番手に甘んじる、小さな蔵元でした。一時は経営難に陥るほどの苦境にありましたが、そこから日本酒作りの慣例にとらわれない新たな取り組みに挑み続け、国内外の日本酒市場を鮮やかに開拓していきました。その立役者が、旭酒造株式会社会長の桜井博志(さくらい・ひろし )さんです。 市場低迷、多額の負債、豪雨災害──幾多の困難に直面しながらも、「良い酒づくり」に邁進してきた根底にある仕事観をキャリアグラフを手に振り返ってもら