日直のボウシータです。前回は田辺聖子『欲しがりません勝つまでは』(1977)に出てきた愛国美少女〈竹本サン〉をご紹介しました。今回はその「竹本サン的」な人たちについて書いてみたい。 竹本サンは従兄が出征したのを機に、「自分たちも国文学の勉強などしているばあいではない、いますぐ軍需工場に行って働き、お国のために働くべきだ」と血気に逸った主張をするのですが、クラスメイトたちにはイマイチ受け入れられず、友成先生には、じゃあなんで国文科になんかに入ってきたの? ただの注意力散漫なんじゃないの?ともっともなツッコミをされてしまう。ついに竹本サンは、〈あたしのいってること、ほんとに憂国の至情からいってるんです〉と言い捨てて半泣きで教室から出て行ってしまったのでした。先生は、 〈憂国の至情というより、私情の方ではないかね〉 と、うまいことを言います。竹本サンは熱弁事件のあとすぐに学校をやめてしまい、作中