戦前日本のコカイン産業についての研究論文を読む。文献は、Karch, Steven B., “Japan and the Cocaine Industry of South East Asia, 1864-1944”, in Paul Gootenberg, Cocaine: Global History (London: Routledge, 1999). 知らなかったのは私だけかもしれないけれども、かなりショッキングな内容の論文だった。1920年代から30年代、40年代にかけて、台湾や硫黄島・沖縄などで三菱合資会社の出資によってコカが大量に栽培され、それが三共製薬・星製薬をはじめとする日本の大手の製薬会社によってコカインに精製されてインドの闇市場などに売られ、日本の官僚はコカ・コカインの輸入・生産量を偽って国際連盟に報告し、密輸コカインの輸送には海軍の軍艦も使われていたという驚くべき内
Eghigian, G. (2015). "A Drifting Concept for an Unruly Menace: A History of Psychopathy in Germany." Isis 106(2): 283-309. 今年度は感染症の歴史の本を読んで講義ノートを作ったり、あるいは医学史の他の領域の本や論文を読んだりする機会が多かったが、久しぶりに専門の領域である精神医療の歴史の文献を読むことができるモードに入った。楽しく心躍らせながら読んだ論文が素晴らしかった。 「精神病質」という診断カテゴリーは、曖昧なものとして精神科医たちが警戒しているものである。精神科医が権限を拡張するために作り上げた概念であるとか、性犯罪をおかしたものに厳しい対応をするための道具であるといった議論がされてきた。日本では1960年代から70年代に、これが精神疾患として実在するのか、それとも
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