ウクライナ戦争を、私たちはどのような視座から見るべきか。元外交官で作家の佐藤優氏は「日本のマスメディアはロシアから発信される情報をまじめに分析しようとしていない。私たちは価値観の肥大化を警戒すべきだと思う。ウクライナ情勢を価値に流されず、多面的に見るよう努めるべきと思う」という――。 ※本稿は、佐藤優『よみがえる戦略的思考 ウクライナ戦争で見る「動的体系」』(朝日新書)の一部を再編集したものです。 太平洋戦争を振り返ることでウクライナ戦争がわかる ウクライナ戦争について考察する前に、まずは1941(昭和16)年12月8日の日本にさかのぼってみる。 日本は、国民総生産で約12倍、航空機生産量で5倍、国内石油産出量に至っては約800倍の差(いずれも開戦時)があるアメリカを相手に戦争を始めた。なぜ、勝ち目のない戦争に突入したのか。今なお、問い続けられている。ウクライナ戦争について考察するにあたり