世界最高峰の研究施設として知られるマサチューセッツ工科大学(MIT)Media Lab。 その副所長である石井裕教授に、世界で認められる成果を生み出すアプローチと、日本の企業、ビジネスパーソンがグローバル競争を勝ち抜くためのヒントをうかがった。 登る山は「見つける」のではなく 「造る」もの 独創的研究課題とは「見つける」ものではなく、自らの手で「造り上げる」ものだと考える。1995年にMIT Media Labで研究を始める直前の私は、雲に隠れて見えない高い山を見つけ、登る決意で気負っていた。しかし、そんな山など初めから存在しないことを MIT に来て思い知ることになる。Media Labへの参画時、当時の所長、ニコラス・ネグロポンテ教授が私に言ったことを、今もよく覚えている。「これまでの研究はいっさい捨てて、まったく新しいことを始めろ。人生は短い。新しいことへの挑戦は最高のぜいたくだ」。