ベルント・クーヘンバイザー（1969–）はハイデルベルクとシュツットガルトで音楽とデザインを学び、1996年から自身のデザインスタジオをミュンヘンに構える。デザイナーを〈コンテンツに文化的な付加価値を与える媒介者〉と位置づけ、時に企画・編集・執筆まで携わることでも知られる。大小様々な主に文化関連の仕事──音楽レーベルECMや出版社ラース・ミュラー、文化交流機関ゲーテインスティテュート、あるいはアーティスト個人からの依頼まで幅広く活躍、「ドイツの最も美しい本」を数回にわたり受賞している。 クライアントワークのほか自主的な企画も数多い。とりわけウェブサイト〈A Good Book (www.agoodbook)〉は内容・デザイン、オブジェクトとしての質が際立った書籍を公開・議論するための〈場〉として話題となり、サイトのアナログ版アウトプットたる書籍〈61 books with black ty

30年にわたり活版印刷による本を制作するロマノ・ヘニによる展覧会「Typo Picture Book and more …」print gallery にて開催 スイスのバーゼルでタイポグラファ・グラフィックデザイナーとして活躍するかたわら、30年にわたり活版印刷による本を制作するロマノ・ヘニの展覧会「Typo Picture Book and more …」が白金高輪の print gallery にて開催されている。 昨年末から本年頭にかけて、同ギャラリーにてヘニの展示が開催されたが、今回はヘニのアトリエで制作された新作を中心に展示する。 〈本書の目的は、明確な目的を持たせないこと─実体はともかく表面的には〉と後書きに記載された新作〈Typo Picture Book〉では文字・約物といった活版印刷の活字を素材に構成された、時にリシツキーなど1920年代のモダニストの視覚言語を彷彿とさ

ペーター・ブロッツマンは1941年ドイツに生まれ、現在に至るまでいわゆるフリー・ジャズの枠におさまらない演奏活動を続ける。ブロッツマンはタイプライターやレタリング、自身で彫った活字を素材として使用し自らのレコードジャケットのほぼ全てをデザインしてきた。本展示ではFMPレーベルの創設期から1980年代半ばにかけて、ブロッツマンにより制作されたレコードジャケットのデザイン/タイポグラフィを概観し、本展に出品されているジャケットをまとめた作品集BRÖTZM（fischiff VERLAG）を販売する。

ロマノ・ヘニは1956年にスイスのバーゼルに生まれ、4年間の植字工修養期間を経て、バーゼル・スクール・オブ・デザインでグラフィックデザインを学ぶ。1980年に自身のスタジオを設立。アートバーゼル（1982–96）やバーゼル新聞（1983–2003）等のデザインをおこなう傍ら、印刷工房で活版印刷による本を制作してきた。本展示では、自身の思考をまとめあげ伝達する為の〈素材〉として鉛活字を用いるというヘニの特徴がよく現われた新作〈タイポグラフィックノート2〉、スイスのタイポグラフィ誌TM（1992/2010）に掲載されたヘニ特集号を再編集した自身の作品集を展示、販売する。併せて、バーゼルのデザイン学生がヘニの指導の下、活版で制作した本、造形過程をかいま見ることのできるダミーやスケッチ、活字組版等を展示する。

国際的に活躍するタイポグラファ、グラフィックデザイナーであるヘルムート・シュミット。1981年以降は大阪で、自らの事務所を構えている。「デザインは姿勢である」という理念の下、個人的・社会的・政治的なテーマで多くの実験作品も制作してきた。1970年代には、タイプライターを使用し、自らの政治的意見と合致する社会民主主義的な言葉を視覚的に表現したポスター15点を制作した。本展では15点のポスターに加え、制作にまつわる資料と解説を交え展示する。（ポリティポグラフィーエンとはポリティクス（政治）とタイポグラフィ 2つの言葉からなる造語である）