"うたかた"という言葉で想うのは"うたかたの日々"。二十世紀フランス現代文学、といっても今となっては古典的作品といえるボリス・ヴィアンの恋愛小説の題名です。シュールでありながらロマンチックで悲しい物語です。 一方、ここはパリ中心部のサントノーレ通りに近いオイスターバー。"サントノーレのうたかた"という店名で、フランス語のエキュム=うたかた、泡は文字通り、海の女神がもたらしてくれる魚介のことを暗示しています。まるで、ボッティチェリの絵画・ヴィーナス誕生の中の真珠玉のような潮のしぶきから貝や魚達が飛び出して、そっくりそのままパリの街中に届けられたかのような店です。 ワルシャワでの普段の生活では新鮮な魚や貝になかなかお目にかかれません。なので、パリ時代から贔屓にしていたこの小さな店には、夫君とパリに来るたび、時間があれば立寄り、フランスならではの魚介の美食を楽しみたいと考えています。前回一緒に来