フランスの免疫学者ジャック・ベンベニスト(Jacques Benveniste)は分子が一つもなくなるレベルにまで希釈した抗体溶液(つまり、ただの水!*1 )が白血球に作用して脱顆粒という現象を誘発するとする論文を発表した*2。この論文は、同様の極端に希釈した溶液を治療に用いる*3ホメオパシーを裏付ける実験結果として発表されたが、後の詳細な調査でこの実験結果は幻であったと結論づけられた*4 *5。 なお、この業績によりベンベニストは面白おかしい研究に与えられるノーベル賞のパロディー、イグノーベル賞の第一回化学賞を受賞している*6。 ベンベニストの論文の掲載先は、一流の科学雑誌Natureだった。このNature誌にこのような胡散臭い論文が掲載されたことに対してはそれなりの反響があったようで、その一部は同誌の誌面でも紹介されている。寄せられた投書の内容は、論文を通してしまった編集部を批判する