沖縄が大きな転機を迎える中、子々孫々への責任を持てるのか。歴史の評価に耐えうる判断なのだろうか。 米軍普天間飛行場の名護市辺野古移設をめぐり、政府が求めた公有水面の埋め立てに対し、名護漁協が総会で同意した。これまでも容認していただけに、同意自体に驚きはない。だが、理由を説明した古波蔵廣組合長のあけすけな発言には驚いた。 「納得いく額を出してもらえば、あすにでも(同意を)出す」「早い話が補償を得られればいい」 貴重な自然が息づき、組合員の父祖を含めた、多くの漁民が生活の糧にしてきた豊かな海を、漁業補償と引き換えに差し出すことに何のためらいも感じられない。 埋め立て予定海域は、県の自然環境保全指針で、最も厳格な保全が義務付けられた海域である。 古波蔵氏は、海を守り抜くウミンチュの誇りをどう考えているのか。その発言は、5年、10年先の目先の利害を最優先する宣言としか映らない。 東日本大震災から満