以下は松浦年男さんが企画した「言語学な人々」というアドベントカレンダーの記事として書いたものです。 ------ 私は音声学者であり、大学で音声学を教えている。私は音声学を教えるのが好きだ。 音声学の授業の中心はIPAだ。たぶんどこの大学でも言語学の授業で音声学を習うときにIPAを多かれ少なかれ習うと思うけれど、この記事の読者の中には専門的な言語学・音声学に全く触れたことのない人もいるかもしれないので説明しておくと、IPAとはInternational Phonetic Alphabet の略だ。日本語では国際音声記号とか国際音声字母とか訳される。調音音声学の原理にそって記号チャートが用意されていて、世界中の言語の音が表記できる(というふれこみである)。 図1:"IPA"の現代アメリカ英語での発音をIPAで表記するとこうなる (Wikipediaより転載) 言語学科に入った学生たちは、言語
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