教育を考えるシリーズの第6弾です。これで最終回で、いちばん主張したいポイントです。朝日新書「リベラルは死なない」からの抜粋です。 教育行政、教育と政治の適切な距離 本章で考えてきた教育の課題を考えると、政治主導で進められてきた「教育再生」がさまざまな弊害を生んできたことこそが、最大の問題だということに気づく。 中曽根臨時教育審議会以来の自民党政権の教育改革の多くは、教育の専門家の意見よりも、経済界や文化人の声を反映した「教育改革」というケースが多い。すべての人が中学校まで通い、ほとんどの有識者が大学を卒業しており、教育の「経験者」であるため、教育政策に関してはだれでも意見がいえる雰囲気がある。 残念ながら、多くの場合、自分自身の経験に基づく狭い意見であっても、教育については確固とした信念を持っている人が多い。防衛政策や科学技術政策などでは専門外の有識者の声が政策に反映されることは多くないが