小学生時代に複数回行った1970年の万博の感動は忘れ難い。それと比べると、今回の大阪・関西万博はほとんど興味が湧かない。建設が予定よりも大幅に遅れているというニュースをみる度に、日本のような国で何故そういうことが起こるのか、不思議に思っていたが、本書を読んでその理由がよく分かった。 都市の孤島と呼ばれる「夢洲」に交通インフラがないこと、埋立地特有の地盤の問題、イベントが終われば取り壊す「パビリオン」であること、取り壊しに際しては杭抜きも含めて元に戻す必要があることなど、建設資材等が高騰しているという市況的な要素を除いても、建設コストが高騰する理由に事欠かず、外国政府からみると、日本のゼネコンが出す見積が信じられない位にコスト高なものと映っているであろう。 東京五輪の談合事件の影響で電通・博報堂などの広告代理店が動きが取れないという事情も致命的で、万博のようなイベントを仕切れるプロが不在とい