「ポジティブであること」は、あたかも正しいことのように解釈されがちです。ところが『ネガティブ思考力』(榎本博明著、幻冬舎)の著者は、心理学博士としての立場から、そのような考え方に真っ向から疑問を投げかけています。 世の中で成功している人はポジティブな心理傾向を身につけている。だから、ポジティブ思考を身につけて、ネガティブな思いは捨ててしまおう。そんなポジティブ信仰が猛威を振るっている。 だが、実際に世の中で成功している人たちは、けっしてネガティブな心理傾向をもたないわけではない。(「序章 ポジティブ信仰に戸惑う人々」より) その例として名前が挙がっているのは、巨人軍の4番打者として不動の地位を築いたのち、メジャーリーグでも活躍した松井秀喜選手。あるいは、映画やドラマ、舞台でもおなじみの俳優・竹中直人氏。彼らのような大御所であっても、常に不安に脅かされているということです。 つまりポジティブ