きょうから読書週間が始まる。今年の標語は「この一冊に、ありがとう」。出合えてよかったと思える作品を見つけたい。 出版科学研究所によると、紙の本の販売額は昨年、15年ぶりに前年を上回った。コロナ禍が長引き先行きが見えない中、本によりどころを求める傾向がうかがえる。 読書といえば、小説やノンフィクションを思い浮かべる人が多いだろうが、最近は短歌の歌集を手にする人も増えている。 ブームをけん引しているのは「Z世代」と呼ばれる20代の若者らだ。投稿サイトやSNS(ネット交流サービス)で楽しむ。短歌の裾野が広がっている。 「五七五七七」という三十一(みそひと)文字に凝縮して表現する短歌は、短文を投稿するツイッターやインスタグラムと親和性が高い。 満たされない思いや、さりげない日常を切り取る新鋭歌人の独創的な作品がSNSで共感を呼ぶ。 現代短歌に限らず、明治時代に石川啄木が困窮の中で詠んだ歌に目を向け