所有者が分からない土地が増えている。耕作放棄された農地などでかつて顕在化したが、現在では住宅地でも見られ、全国的な問題となりつつある。 所有者を探るのに時間がかかり、行政が道路建設など公共工事を計画しても、利用承諾や買収が進まない原因になっている。 土地を所有者が適切に管理しなければ新たな利用の妨げになり、社会の活力をそぐことになりかねない。社会全体で問題を共有し、解決策を探るべきだろう。 土地の所有者不明問題は、1990年代になって表れ始めた。間伐されず荒れ果てた山林や、農地集約の妨げになっている耕作放棄地があちこちで見られるようになった。 問題の深刻さを突きつけたのは東日本大震災だ。 福島第1原発事故が発生し、中間貯蔵施設の建設が福島県内で進む。計画地の登記簿上の土地所有者は2360人に及ぶが、1月末現在でも4分の1以上の人の連絡先が把握できておらず、建設の妨げになっている。津波被害を