インドのモディ首相の訪日に合わせ、日本はインドと原子力協定を締結した。日本から原発関連機器をインドに輸出できるようになる。 インドは核兵器を保有しながら、核を統制する国際的な枠組みである核拡散防止条約(NPT)に加盟していない。国際法で認められていない核保有国と初めて原子力分野で協力を進めることになる。日本はNPT体制のほころびを追認したことになるのではないか。 しかも、日本が確約を求めてきた「核実験を実施した場合は協力を停止する」という首脳間の合意は、協定に書き込まれなかった。インドが米仏など8カ国とすでに締結している同様の協定でも前例がないとして受け入れなかったからだ。 代わりに日印は、協定とは別の文書に署名した。ここでも「核実験」という文言はない。しかし、インドが核実験モラトリアム(一時停止)の継続と原子力利用の軍民分離を確約した2008年の国際合意に言及することで、約束は担保された