政府がマイナンバー制度の運営について総点検を始める。問題点を洗い出し、トラブルの再発を防がなければならない。計画ありきの姿勢を改めることが、信頼回復の前提となる。 健康保険証や年金などの情報を他人のマイナンバーにひも付けするミスが後を絶たない。政府は地方自治体などと連携し、情報に誤りがないか点検する。 とりわけ懸念されるのは、マイナ保険証を事実上義務化する計画だ。先の国会で関連法を改正し、現行の健康保険証を来秋廃止することを決めた。その後も1年間は併用できる猶予期間を設けたが、国民の理解は得られていない。毎日新聞の世論調査では、回答者の過半数が計画に反対している。 マイナ保険証の登録や管理の難しさを訴える老人施設もある。そうした懸念に向き合い、対策を示すことが重要だ。 岸田文雄首相は「国民の不安を払拭(ふっしょく)する措置の完了が前提」と述べた。それならば、スケジュールに固執すべきではない