家族全員理系という男と家族全員文系という女が結婚した。 「ミシンというものは、どの家庭にもあるものだと思ってました」と奥さんは僕に言う。 一方、旦那は僕に向かって次のように語る。 「はんだごてというものは、どの家庭にもあるものだと思ってたよ」 二人とも、理系と文系はこんなに違うものなんですよ、と強調したかったらしいのだが、彼等は根本的に間違っている。二人とも発想が同じなのだ。彼らは似たもの夫婦であり、ちょっとした理想のカップルなのである。理系の人間と文系の人間は、互いに理解困難なものを抱えているようなところがあって、一緒に生活するのはある程度困難を伴うのかもしれないが、この夫婦はそういった諸問題を乗り越えていた。 学問の上でも、理系と文系はもっと協力しあってはどうか。 応用物理学白樺派 ポストモダン分子生物学 情報システム哲学 もしもこんな学問研究があったら世の中はもっと平和に……ならない