光学顕微鏡による組織形態学は,一般的にはまず化学固定液による組織の固定,次にパラフ ィンへの包埋,そしてミクロトームによる薄切り,さらに染色という過程を経て,初めて観察 可能になります。最後の染色方法(組織化学的方法)はここ30年ほどで,大きく進歩し,私 も当初使っていた化学染色剤に加えて,レクチン,抗体,さらには遺伝子プローブなども使う ようになりました。しかし,やっている操作自体は,切片の上にとっかえひっかえいろんな溶 液をかけるということで,その基本的な手技は昔とほとんど変わりません。このように古典的 な研究手段ですが,未だに医学・生物学の研究には無くてはならないもので,最先端の分子生 物学の論文にもしばしば昔ながらのパラフィン切片の写真が登場します。ところが,このよう にほとんど完成された方法であり,水産の分野でも多くの人が利用しているのにも関わらず, 意外と基本的なことが知られて