『インテグリティ ーコンプライアンスを超える組織論』重版出来! コンプラを変え,会社を変え,日本を変える! シンガポールの民事裁判の手続をご紹介いたします(前篇)。 ■ 総論 シンガポールと日本の民事裁判の違いは,(1)文書開示制度(ディスカバリー)の有無,(2)訴訟スケジュールの柔軟性の違い,(3)証人尋問手続の長短,そして(4)弁護士費用の負担だと思われます。 すなわち,(1)シンガポールではアメリカ的な文書開示制度(当事者が審理前に手持ち文書を相手方に開示する制度)がありますが,日本にはありません。 また,(2)シンガポールの裁判日程は固定的で,日本の方が柔軟です。シンガポールの民事裁判は大まかに言うと①訴答手続(Pleadings)終了後,②文書開示・閲覧を行い,③審理・尋問手続(Trial,公判)に入りますが,この日程は訴訟当初にあらかじめ決定され(多くは訴訟開始より1年以内に終