東日本大震災からの復興を目指す宮城県気仙沼市の姿をドキュメンタリー映像に残そうと、被災地の撮影を続けるカナダ人女性がいる。 来日して20年間、日本の漁村の研究を続けてきた国連大学の研究者、アン・マクドナルドさん(45)。変わり果てた“第二の故郷”の姿に心を痛めながらも、「再起しようとする人間の力強さを記録に残したい」と漁業関係者にインタビューを重ねている。 「まるで戦場のよう」。今月12日、いまだに水の引かないJR南気仙沼駅近くの広場で、マクドナルドさんは立ちつくした。魚と重油の混じったような臭いが満ち、路肩に幾重にも積まれたがれきが散乱する。「私にとって大切な場所。惨状を見るのは悲しいが、それでも目を背けてはいけないと思う」 現在は、環境問題を研究する国連大学高等研究所いしかわ・かなざわオペレーティング・ユニット所長を務めるマクドナルドさんが来日したのは1991年。全国の漁村を巡り