いわゆる「毒親」のもとで育ち、トラウマを抱えながら生きている人たちがいる。自分自身が上手に生きられなくなってしまった人たちがいる。 わたしの両親は「毒親」ではなかったと思う。 むしろ有り余る愛情を注がれてきた。 女の子の一人っ子。母方の祖母にとっては初孫。溺愛するのはある意味では当然かもしれない。 しかし申し訳ないがわたしは、親のことが好きではない。嫌いというわけではないけれど、決して好きではない。 「良い子」が親を怒鳴りつけた夜 「あんたたち、どっちも自分のことしか考えとらんやん!そんなんで娘の大事な時期を潰すんかね!」 高校生だったある日の夜。 私は両親をついに「あんたたち」呼ばわりして怒鳴ってしまった。我慢の限界だった。 実際、私は「大事な時期」にいた。 受験勉強の仕上げにかかるころ。センター試験(今でいう大学入学共通テスト)の数日前に、ことは起きたからである。 物語のような両親の出