欧米型のフレキシブルな研究体制をつくりたい ――今改めて「世界に伍する研究大学」を目指されていますが、これまでも数々のノーベル賞受賞者を輩出されるなど、日本を代表する研究大学として知られています。京大の歴史的な研究の特色や強みについてお聞かせください。 京大が創立されたのは明治30年、日本で2番目の帝国大学としてスタートしています。東大は官僚をはじめとした政治社会のリーダーを育成する一方、京大は研究者を育てる研究型大学として誕生しました。当初は西洋の最先端の知識や成果を輸入し、日本に内在化することを進めていましたが、国力が増す中で、日本独自の研究をする風潮が生まれました。 当時の学内はまさに「パイオニア精神」に満ち溢れていたと言います。そうした風土の中で、日本初のノーベル賞受賞者も生まれたのです。私も常々先輩から「自分の学問を開拓しろ」と言われてきましたが、そうした独創性を重んじてきた伝統