私、餡子のためなら逆立ちだってしますよ。 こじらせている。 食べたいと思ったら食べたいのである。 ここが北カリフォルニアの片田舎であろうと、私があんみつが食べたいと思えば、あんみつは今すぐ作って食べなくてはいけないものになる。食いしん坊の思考は凄まじい。 子供が観ていたアニメで、赤ちゃんが空の…
「アメリカのお家の、あのいつも食事をしていたスペース覚えてる?」 生まれたばかりの娘の世話を手伝いに来てくれた母が不意に聞きました。 アメリカの家というのは、私が高校卒業まで住んでいたアメリカ、シカゴの2階建ての家のことで、リビングルームのとなりに客間はあったものの、そこはふだん食事には使ってはいませんでした。リビングからキッチンの方角へ、ガレージの扉との間のわずかな空間にテーブルを置いて、パティオ付きの裏庭を見ながらいつも食事をしていたのでした。 「覚えているけれども、それが何?」 「いま写真を整理しているのだけれども、家の他の部分はいくらでも写真があるのに、一番時間を過ごしていたあの場所だけ、一枚も写真がないのよ」 それは確かに意外な話でした。 この場所は一日に最低でも2回家族がそろう場所でしたから、さまざまな記憶があります。夏の間は食卓から見える庭に何時間も野ウサギがうずくまっていた
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