作家の村上春樹氏(57)が、米国の作家、スコット・フィッツジェラルドの代表作『グレート・ギャツビー』を翻訳、刊行した。「60歳になったら訳してみたい」と願ってきた「人生で最も大切な小説」への思いは――。氏の発案によりメールの交換によるインタビューが実現した。 ――80年前の米小説『グレート・ギャツビー』を、いま新訳で出す意義は? 村上 ある古典小説が、現代の物語として読む価値があるというのは、その本の登場人物たちの考え方や行動様式が、現代に生きる我々にとってじゅうぶんに「同時代的である」ということを意味します。 つまり「どうしてこの人はここでこんなことを言い出すのだろう?」とか、「どうしてこの人はここでこんなことをするのだろう?」とひとつひとつ考え、想像していくだけの価値があるということです。そしてそれはそのまま、僕がこの本の翻訳をしながらおこなったことでした。 そういう小説って、ほかにな