レ・ブルー(フランス代表の愛称)が新しい一歩を踏み出すには、このドラマッチックな“墜落”が必要だった。フランスが1分け2敗という成績でユーロ(欧州選手権)2008からはじき出された夜、ユーロ2004の後に一度引退し、復帰したジダンに無理やり呼び戻された2人――マケレレ(35歳)とテュラム(36歳)は、代表からの引退を表明した。思えばこれは、2004年に起きていたはずの、来るべくして来た終焉(しゅうえん)だった。ただ、06年ワールドカップ(W杯)での決勝進出というジダンが起こした奇跡によって、それが4年ほど遅れただけだったのだ。 ジネディーヌ・ジダン。彼の名は、その引退から2年たった今も、繰り返しささやかれている。偉大すぎる先輩に続く者たちにとって、人生は楽なものではない。 「ジダン……ああ、彼がいないことを寂しく思う。僕らの状況が非常に厳しくなり、人々は去ってしまった彼について話したが