「新卒一括採用システム」は、歴史的にはどのような経過をたどってきたのだろうか。新卒採用の現状を正しく把握するためにも、その歴史を簡単に振り返ってみたい。 1)明治期 この時期の大学とは「旧帝大」であり、そこで学ぶ学生は当時の社会の中で真のエリート層といえた。卒業生の多くは官僚となったが、一部は中央官庁とのパイプを必要とした旧財閥系企業などに幹部候補生として迎えられた。 第一次世界大戦をピークとする好景気の到来で、多くの企業が高等教育を受けた人材を求めるようになった。しかし、その当時の大学は旧帝大しかなく、人材は非常に限られていた。そこで、企業は高等小学校を出たばかりの優秀な若者を多数採用し、社内で育成するようになった。技術だけでなく、社内に学校を作って数学や英語などの基礎教養も教えたのだ。この「ポテンシャルの高い新卒を採用して社内で育成する」システムは、その後、大学の新卒者に対しても受け継
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