マウスのiPS細胞を使い、毛を生み出す「毛包(もうほう)」や皮脂腺などを含む皮膚全体をまとめて再生することに成功した、と理化学研究所(理研)などのチームが発表した。やけどや重度の脱毛症などの治療に役立つ可能性があるという。論文が1日付の米専門誌「サイエンス・アドバンシズ」に掲載される。 皮膚は表皮や真皮などの層状になっていて、毛包、皮脂腺、汗腺などが含まれる。ヒトの皮膚から表皮のみを培養してやけどの治療に使う再生医療製品はあるが、複雑な構造をした皮膚全体をまとめて再生したのは初めてという。 理研多細胞システム形成研究センター(CDB)の辻孝チームリーダーらは、マウスiPS細胞を培養し、皮膚の様々な組織のもとになる細胞の塊を作製。この塊を複数個、コラーゲンの中に入れるなど独自の方法でマウスの体内に移植すると、一部で通常と同じような構造の皮膚が再生された。その部分を別のマウスの皮膚に移植すると