誰がどう見ても、おっさんと言われる歳になった。 10代や20代のころ、まさか自分がおっさんになるとは思いもしなかった。 テレビに出てくるどこかの会社の偉いさんたち。 出世する連中のどこが偉いのかまったくわからなかった。 もっと、すごいこと、もっとわくわくすることがあるだろうと思った。 そんなおっさんになりたくなかった。 スーツ姿でひとりで飲んだくれて、就職活動をしている僕をつかまえ、営業で会社なんかに入るんじゃない。理系だったらなんで研究職にいかないんだとうるさくからんできたおっさん。 そんなおっさんになりたくなかった。 薄汚れた白衣を着て、誰も知らないような海洋微生物の資源量の研究をして、日が暮れたら院生と研究室で酒を飲んで噂話。モノクロの毎日。 そんなおっさんになりたくなかった。 毎日、7時半にきっちり帰ってくる父。 辞める辞めると言い続けて会社を辞めなかった父。 そんなおっさんになり