電子マガジン「αシノドス」にて10回にわたり連載していた「もうひとつの沖縄戦後史」が、最終回を迎えた。貧困、スラム、売春、犯罪……。1960年前後の「沖縄タイムス」の記事から、戦後沖縄の知られざる側面を鋭く切り取る。α-Synodos vol.160より最終回を転載。 * * * これまで、1960年前後の『沖縄タイムス』の記事を大量に引用・再構成し、リゾートや伝統文化や基地問題だけではない沖縄、貧困と暴力の沖縄、犯罪と売春の沖縄、スラムと経済成長の沖縄について描いてきた。この連載も今回でいちおうの最終回である。初回からここまでの話をざっとふりかえってみよう。 まず第1回めでは、同棲相手の女性を殺してその乳房を切り取ったという凄惨な事件を取り上げ、その背景にある戦後の沖縄社会の特質を描いた。 もうひとつの沖縄戦後史──「オッパイ殺人事件」と経済成長 この回では、たったひとつの事件の記事