◆加島卓(かしま・たかし)さん (河出書房新社・2484円) 「エンブレム問題」を問い直す 開幕まで1000日を切った2020年東京五輪は2年半前、大きくつまずいた。コンペで最初に決まった案が白紙撤回された「エンブレム問題」。なぜ騒動は起きたのか。本書は膨大な量の史料や報告書、当時の記事を調査し、ツイッターなどソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)にも目配りして実相をあぶり出す。 著者は日本のデザイン・広告史を専門とする社会学者。「旧案は『パクリ(模倣)かどうか』、コンペは『出来レースかどうか』の2点に論点が絞られ、議論が進んだことに違和感を覚えました。問いの立て方を変えない限り、同じ問題が繰り返されると感じたのです」