さらに、消しゴムによって、子どもたちが書いた内容を初期化させないことで、教師は子どもたちの情報のすべてを把握できるのです。プロセスも含めて“思考の進化”が記録されることで、子どもの個性までが筒抜けになるため、採点する教師としては的確な評価と指導が可能になります。 こうした考え方は、テスト問題の出題の仕方にも見られます。日本の小中学校の試験では、○×や、いくつかの選択肢から正解を1つ選ぶ問題などが多数を占めますが、フランスでは、試験科目に関係なく、ほとんどが記述式です。書くことに対する忍耐力や免疫力めいたものが養われ、いついかなる際であっても美しく書くことに集中できるようになります。これによって、美意識の形成に役立つのです。 一方、日本の学校においては小学校は鉛筆、中学校でもシャープペンシルなど、消しゴムで消せる筆記用具を使う人が大半です。「間違ったことを消して、なかったことにする」ことは、