スラヴォイ・ジジェクは開口一番、「自分はファシスト」だと言った。 オンラインインタビューは、ジジェクのヘッドフォンが機能しなかったために開始が遅れた。この不慮の事態に彼は、(お互いの姿を見るための)「ズーム」と、(会話するための)電話を組み合わせて対応することを詫びると、「恥ずかしい限りです。本当に申し訳ない。こうしたものを相手に私は完全なファシストになってしまう」と言った。そしてトラブルを解決しようとしながら、テクノロジーには、あれやこれやの問題がつきものだとぼやいた。 このように「テクノロジーとは馴染みにくく、よそよそしいものであると同時に、身近で便利なものでもある」というのが、まさにジジェクの新著『ヘーゲルとつながれた脳』(未邦訳)のテーマだ。 ジジェクはその著書のなかでこう問いかける──「機械につながれた脳のようなものが本当に存在するようになったとき、人間の精神や主観はどうなるのか
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