柳美里さんから編集部に連絡があったのは6月下旬のこと。岸田國士戯曲賞の選評が掲載されず選考委員を辞することになった、ついては選評と経緯を説明する文章を発表できないかとの相談でした。原稿を拝見し、編集部で議論のすえ、掲載を決定しました。ゲンロンもスクールや新人賞を主催しています。他社である白水社さん主催の選考について、第三者であるゲンロンが批判を掲載することにはリスクがあります。非難もあるかもしれません。けれども、岸田國士戯曲賞は有名な賞で歴史も長く、柳さんも影響力のある作家であり、内容的にも必ずしも戯曲賞および白水社さんを一方的に批判するものではないことから、公表には公共性があると判断しました。掲載にあたっては、柳さんと相談し、個人名を割愛するなど最低限の編集を施しています。本原稿の公表が、演劇界での議論の活性化につながることを期待します。(東浩紀+上田洋子) 岸田國士戯曲賞の選考委員を辞