タイで起きたタクシン元首相を支持するデモ隊と治安当局との衝突は、日本人カメラマンの村本博之さんを含む20人以上の死者を出す最悪の事態となった。1992年に民主化を求める市民や学生44人が治安部隊の発砲で死亡した「5月騒乱」以来の悲劇といえる。混乱の背景や今後の見通しをQ&A方式でまとめた。(岩田智雄) Q 混乱がここまで拡大したのはなぜか A 今年2月に、タイ最高裁がタクシン氏とその一族の資産約460億バーツ(約1240億円)の没収を命じる判決を下したことが直接の原因だ。タクシン氏は、2006年にクーデターで権力の座から追いやられて以降、自ら率いたタイ愛国党が解党されたり、自身が禁固刑を言い渡されたりして徐々に力をはぎ取られてきた。資産没収は実業家出身のタクシン氏にとり、耐え難い屈辱だった。 Q なぜ平和的に解決できないのか A 問題の根は、反タクシン派が時代遅れのクーデターという非民主的