近年生息数が激減しているヨウスコウワニの繁殖に国内で唯一成功した円山動物園(札幌市)は5日、太鼓をたたいてヨウスコウワニの交尾を促す実験を行った。2~3月の発情期に雌と雄が「ボン」と低音で鳴き合って交尾する特性を踏まえたもの。この日は交尾しなかった。 円山動物園によると、ヨウスコウワニは中国の揚子江流域に生息する小型のワニ。発情期には飼育員が展示場の窓をたたき、鳴き声に似せた音を出して交尾を促していたが、昨年施設が建て替えられ、窓が厚くなって音が出せなくなったため、実験を企画した。 札幌市在住の打楽器奏者、茂呂剛伸さん(33)が雄の「ヨウヨウ」と雌の「スウスウ」を相手に実験。エゾシカの革で作った縄文太鼓やアフリカの太鼓をたたき、低音で迫力のある音が響くとスウスウが水中から頭を出し、大きな声で鳴いた。ヨウヨウはスウスウに近づきはしたが、鳴かなかった。