犬や猫をはじめとするペットは大切な「家族」。だが、高齢になると自身で世話ができなくなり、飼い続けられなくなることに不安を抱く人は少なくない。「最期のときまで一緒に過ごす」。そんな思いがかなえられる数少ない老人ホームを訪ねた。(戸谷真美) 世話代はゼロ 扉を開けると、茶色の中型犬が尻尾を振りながら近づいてきた。テーブルやテレビが置かれた共有スペース。入所者たちのかたわらで、3匹の犬が歩き回ったり、お座りしていたり。犬たちについて職員と話す人もいれば、言葉は発せなくても目を細める人もいる。 神奈川県横須賀市にある特別養護老人ホーム「さくらの里 山科」。平成24年に開所した4階建てのホームの2階部分が、犬や猫と一緒に入所できるスペースだ。現在は40人が計15匹の犬や猫と暮らす。若山三千彦施設長は「泣く泣く手放したペットのことを悔やみながら、人生の最期のときを過ごす人がたくさんいた。そういう人を少