骨の中にある特定のたんぱく質を増やすと、骨折が約4週間早く治せることを、東京大学の中村耕三教授(整形外科学)らが臨床試験で確認した。一般的な骨折の治療薬の治験は初めて。スポーツ選手の早期治療や、骨折が原因の高齢者の寝たきり予防など実用化が期待される。 このたんぱく質は、骨を作る細胞が増えるのを手助けする「FGF―2」。骨が折れたところに注射して治りを早めるという。科研製薬(東京都)と共同で、遺伝子を組み換えた大腸菌をもとに大量生産した。 2006〜08年に国内48の病院で、すねの骨が折れて数日以内の71人について、この薬を注射するグループと、比較のために薬を含まないゼラチンを注射するグループに分けて、治る経過を調べた。 薬を注射したグループは半数が14週間で骨がくっついた。一方、薬を使わなかったグループの半数が治るまでに18週間かかったという。 ウサギ、イヌ、カニクイザルでも効果が