孤高の人だった。抜群に頭がよく、プライドが高い人で、友達はほとんどいなかった。弁護士として一時は成功を収めたが、酒におぼれ、仕事を辞めた。妻が働き、家計を支えた。15年余りそんな生活を続け、ついに、離婚。1人で暮らし始めたが、よほど寂しかったのだろう。結婚詐欺に引っかかり、大金をはぎ取られたりもした。ある日、隣人にしばらく旅行に行くと言い、連絡を絶った。 日本でもてはやされている「孤独」 それから3週間後、自宅のベッドからころげ落ちたような状態で発見された。死後かなりの日数が経っていたため、死因は特定できなかった。世間のスタンダードでいえば、「落伍者」だったのかもしれないが、子育てには熱心で、よき父、祖父としての一面もあった。 その突然の死の後、家族に残されたのは、例えようもない悔恨だ。私たちは何かできたのか、できなかったのか。長年の飲酒が体をむしばんでいた、これは間違いないだろう。しかし