ネットの風評で医師募集に苦しんでいる村がある。秋田県上小阿仁(かみこあに)村だ。どのような「風評被害」が起きているのか。ネット上で“あの村”と語られる同地の現状をリポートする。(取材・文=フリーライター・神田憲行) * * * 上小阿仁村は秋田県中央部に位置し、人口約2700人、高齢化率45%、村民の年間平均所得は143万3000円という小さな村である。 2008年から4人の医師が次々と短期間で辞職し、「村民がいじめている」とネットでは面白おかしくネタにして流言飛語が飛び交っている。中傷メールが送られていることもあり、「最近は減って5、6通」(村総務課)というから、かなりの数が来ていたようだ。「電話でいきなり罵倒してきて、お名前を伺うとガチャンと切る人もいます」(同)。ネットの「風評被害」は、現実の医師の募集にも障害を来しているという。中田吉穂・上小阿仁村村長に聞いた。──ネットでの村