-10- 日本の漁業管理の現状 三重大学 生物資源学部 准教授 勝 川 俊 雄 一般にはあまり知られていないのですが、日本 は漁業管理の後進国です。十分な漁獲規制が無い 中で、乱獲が進行しています。残念ながら、この 現状に疑問を感じる漁業関係者は少数派です。 日本には、TAC 法という法律があり、国が漁獲 枠を設定して漁業管理を行っています。漁獲枠が 設定されているのは、スケトウダラ、マイワシ、 サバ類、スルメイカ、ズワイガニ、サンマ、マア ジの7魚種のみです。これらの7魚種についても、 漁獲規制は機能していません。 例として、北海道の日本海側のスケトウダラの 資源をみてみましょう。1997 年から、国が漁獲枠 を設定し、漁業者はそれを守ってきました。にも 関わらず、資源が激減し、漁村の存続が危ぶまれ る事態に陥っています。図1にスケトウダラの資 源量と漁獲割合を示しました。資源が直線的