窓の外を見つめる黒沢英男さん。壁には地元の町議会の日程表が貼ってある=東京都千代田区の旧グランドプリンスホテル赤坂、川村写す 東京・赤坂の旧グランドプリンスホテル赤坂が震災被災者の一時避難施設となって約2カ月。バブル景気の象徴ともいわれた「赤プリ」に暮らす約800人にとって、首都の光景はほろ苦い。 日暮れ時、9階の部屋から見える夜景に、黒沢英男さん(68)は悔しさがこみ上げる。「原発が照らしてきた、都会のネオンだ」 東京電力福島第一原発から10キロ圏内の福島県富岡町で、町議会の副議長を務めている。親族を頼って都内に避難した後、同県郡山市内でアパートが見つかるまでと、赤プリに移った。 町役場や議会は郡山市に避難。赤プリから郡山に出向き、議会に出たり、避難所で過ごす町民を訪ねたりしている。 ホテルで顔を合わせる町民には「もう戻れねぇだろうなぁ」と声をかけられる。「先頭切って戻って、が