今年4~5月、久しぶりに低線量被曝の健康影響がメディアにこぞって取り上げられた。「美味しんぼ」騒動のためだ。東京電力福島第1原発事故から3年半の報道と、美味しんぼ騒動での新聞社説や記事を見ると、どこに報道の問題があったのかが見えてくる。 4月下旬、「週刊ビッグコミックスピリッツ」(小学館)の連載漫画「美味しんぼ」で、主人公が福島第1原発を訪れた後、鼻血を出す場面が描かれていた。これがメディアに取り上げられ、大きな話題を集めた。5月発売の次号では、福島県双葉町の前町長が「福島に鼻血が出たり、ひどい疲労感で苦しむ人が大勢いるのは、被ばくしたからですよ」、福島大学准教授が「福島はもう住めない、安全には暮らせない」と、それぞれ実名で語る場面が掲載された。岩手県の震災がれきを受け入れて処理した大阪市内で、住民が健康被害を訴えたとする話も紹介された。 菅義偉官房長官は記者会見で「住民の放射線被曝と鼻血