コンピュータが全人類の知性を超える未来のある時点は、シンギュラリティ(Singularity、特異点、技術的特異点)と呼ばれている。アメリカの著名な発明家カーツワイルによればそれは2045年に到来するという。そして、そのような時点に発生する様々な問題は、ひっくるめて2045年問題と言われている[*1]。 シンギュラリティとはもともと数学や物理学で使われている用語である。物理学では、シンギュラリティは物理法則(一般相対性理論)が通用しない特異な点である[*2]。技術的特異点としてのシンギュラリティもそれと同様に、技術に関する予測が成り立たず、既存の経済法則も通用しなくなるような時点である。 人類の経済社会における進化のオメガ点、つまり終局であるシンギュラリティに至ると、全ての労働は、人工知能とそれを搭載したロボットが行うので、人間は労働から解放されることになる。すると「労働からの解放と言うが