サンドロ・ボッティチェリ《マグニフィカート》(1480-81) このページではトマス・アクィナスの『神学大全』を読み返すことで、キリスト教神学の基礎を復習してみよう。トマスは自らの神学に対する位置付けを、doctor catholicae veritatis(カトリック真理の教師)と表現している。『神学大全』とは、理論である前にまずsacra doctrina(聖なる教え)であり、humana salus(人間の救い)である。 【神学とは何か?】 そもそも、「神学(theologia)」とは何であろうか? トマスはそれを、scientia divinitus inspirata(神感に基く学)だと考えていた。聖書を真に深く理解するためには、聖なる教えとしての「神学」が必要である。聖書の中においては、我々はそれを読むことで神の教えを認識することができるわけだが、それは学としての聖なる教えでは