このシリーズの一番最初に,「なぜ包括原理」というタイトルで書かせてもらいました.でも(その1)で書いたOWLにおける「包括原理」と(その2)で書いた集合論の「包括原理」がどうしても合わなくて,これが不思議だったのです.違うものだということは分かるのですが,なぜ違うことを同じことのように言っているのかが分からなかったのです.だって,それでOWL-DL派は「包括原理はパラドックスを導く」とRDFを攻撃しているのですからね. それが,最近,ひょっとしたらこれのせい?というのが見つかったのです.ここからはあくまでも,私個人の推測ですから,それを最初にお断りしておきますが,ここは日記ですからね.日記として以下に,大胆に書かせていただきます. Google.com in Englishで,「list comprehension」としてググると,いくつかの記事が出てきますが,そうですね,wikipedi
今年の人工知能学会全国大会は長崎で開かれますが,そこで「RDF意味論とOWL意味論の統合」と題して,このブログで最近書いてきたようなことを発表します.論文の内容はpdfで公開されていますので,興味のあるかたは是非ブラウズしてみてください. 発表で本当は色々と取り上げたいことはあるのですが,時間が限られているので,その内容はやはり個物の同一性の問題とクラスの等価性の問題中心になると思います.そして結論は「現在のOWL仕様はオントロジーの知見を反映していない,このままではOWLに未来はない」というものになると思います. OWLについては,色々な評価があると思われます.肯定的な面では オントロジー記述の標準化?が達成された?オントロジー記述の定式化が達成された.オントロジー記述を一般に普及させた? などということが言えるでしょう. その一方で,否定的な評価としては 難しすぎる.そんな高機能まで必
やっと,クラスとdisjoint問題に入ります. RDF意味論とOWL意味論において,クラスとはその外延で定義されます.以前の私のブログでは,次のように書いています. 「今,何か世の中にあるオブジェクトを考えて(ベースオブジェクト),何かの考え方でもってそれを分類して,複数の集合を作ったとします.そしたらそのある集合ごとに名前をつけましょう.たとえば,この集合は『イヌ』,この集合は『ネコ』,これには『ネコヤナギ』,これには『イヌフグリ』.そうしたときに,そのつけた名前が表示するものをクラスと呼んで,ベースオブジェクトの集合をそのクラス外延と呼びます.」 「イヌ」のクラス外延と「ネコ」のクラス外延が一部でも重なることはありませんから,こういうクラスを「互いに素」(disjoint)あるいは「離接」(disjointness)と言います.どちらの日本語訳もいまいちピンときませんので,以下ではそ
クラスとdisjointの話に入る前に,RDFとOWLにおけるスコープ問題を取り上げます. XML名前空間はあれど,RDFとOWLの三つ組においてすべてのURI参照やQNameはグローバルです.それはちょうど昔のBASICのように,プログラム言語においてすべての変数がグローバルでしかないのと類似のことです.ですから別々のオントロジーで名前空間も含め同じ名前があったら,それは同じものを指しますが,そのオントロジー記述がグローバルなものではなかったら,とんでもないことになります. たとえば,2010年2月22日にお財布に1万円あったとして,翌日5千円だったとして,その二つの知識をトリプルでうかつにマージすると,このようになります. あるオントロジーで MyBag rdf:_01 MyWallet . MyWallet contains MyMoney . MyMoney rdf:va
いつまでたっても,内包と外延の議論というのは,どこか隔靴掻痒的なところがあるのですが,ここではせっかくのブログですから,なかなか論文には書けないような話を大胆に展開したいと思います.それが本当に正しいかどうかは一旦置いておいて・・・. 内包と外延ですぐ出てくる話が,宵の明星と明けの明星の話です.つまり内包としては,古来人間の認識としては両者は別物ですが,外延としては,実は同一物(すなわち金星)だった.でもだからと言って,この話からはなかなか有益な結果は得られないような気がします. (実はコンテキストが意味を支えるものとして出てきて,文脈依存という話はまた溝口流オントロジーとしても重要な話が一杯出てくるのですが,それはまたいつか) 私が一時期一番好きな定義は,広辞苑による定義でした. 内包: 概念の適用される範囲(外延)に属する諸事物が共通に有する徴表(性質)の全体。 外延: ある概念の適用
準備不十分かも知れませんが,ついに本題に突入. まず最初は,唯一名仮説(Unique Name Assumption,略してUNA)と非唯一名仮説(non-UNA)です.えーっと,本当はnon-UNAというのかどうか私は知りません.だれか知っていたら教えてください. ワインオントロジーではvin:ItalianWineとvin:CariforniaWineはこうなっています. <owl:Class rdf:ID="ItalianWine"> <owl:intersectionOf rdf:parseType="Collection"> <owl:Class rdf:about="#Wine" /> <owl:Restriction> <owl:onProperty rdf:resource="#locatedIn" /> <owl:hasValue rdf:resource="#Itali
Pascal Hitzler, Markus Krötzsch, Sebastian Rudolph Foundations of Semantic Web Technologies Chapman & Hall/CRC, 2009, 455 pages, hardcover ISBN: 9781420090505 (BibTeX) Semantic Web is a maturing field of technology that continues to be the emphasis of much focused research. This foundational text introduces the standardized knowledge representation languages for modeling ontologies operating at
★モナMONAのこと MONA (http://www.brics.dk/mona/) は式を有限オートマトンに変換するツール。 検索パターンや時相論理の属性値を持つようなリアクティブシステム(こっちからなんかすると反応が返ってくるようなシステムのこと)やパーズ木( 解析木-構文分析の結果を図示したもの)の制約を表すようなものを対象としている。 MONAは変換したオートマトンを分析してそれが妥当であるとか、あるいは反例(仮説に反対の論拠として用いられる反事実, 反証のこと)を出力してくれるありがたいツールだ。 MONAには1つあるいは2つのsuccessor関数の弱二次理論(Weak Second-order Theory)を決定手続きを取得する機能を持っている。 1つのsuccessor理論は一般的にはWS1Sと略されているもので、自然数の有限集合を二階量化子で拡張。successor関
Wikipedia は語彙網羅性および即時更新性に優れており,半構造情報資源であることからフリーテキストと比べてオントロジーとのギャップが小さいです.そのため,Wikipedia からのオントロジー学習研究が近年,盛んに行われています.しかしながら,Wikipedia はユーザ参加型という性質上,厳密な体系化が行われていないため,Wikipediaからのオントロジー学習には,多くの課題が存在しています.以上より,本プロジェクトでは,日本語Wikipedia における様々なリソース(カテゴリツリー,一覧記事,リダイレクトリンク,Infobox, Infoboxテンプレート)から,大規模かつ汎用的なオントロジーを学習する手法を提案します. ダウンロード 最新リリース 日本語Wikipediaオントロジー 2013-11-7 (日付: 2013-11-11) 日本語Wikipediaオントロジー
2008年8月16日のエントリーで、10年後のIT社会インフラのキーワードは、Wikiとクラウド・コンピューティング、メタバース、メタデータではないか、そして、メタデータが10年後の電子空間の中で浮遊するコンテンツやオブジェクトを有機的に(=意味的に)繋げる有力なソリューション・タグになるのではないかという将来展望話を書いた。 現在のWeb2.0の時代には、お互いが繋がりあって知識を高めていくソーシャルネットワーク性が1つの重要な機能として喧伝されている。私が今書いているブログや参加しているSNSなどでは、まさに様々なネット上の人々との知識連携の高まりを体感している。 しかしながら、類似コンテンツや仲間を探す際には、あくまで過去のログの中の断片的なキ−ワード検索(単なる単語検索)により、類似エントリーを探し出してくるに留まっているのが現状だ。だから、自分が表現しようとした文章や主張内容の意
Interdisciplinary Ontology Conference (InterOntology09 Tokyo) † ↑ CALL FOR PARTICIPATION † The 2nd Interdisciplinary Ontology Conference, Tokyo, Japan February 27 to March 1, 2009 The purpose of the conference is to exchange ideas and state-of-the-art technologies among researchers from around the world on ontology and related fields. Disciplines represented will include computer science, AI, logi
お知らせです.今年も学際オントロジー会議というものが,慶応三田において開かれます(2月27,28日,および3月1日).金曜日と土日になりますが,金曜日には,大阪大学の溝口教授による構築技術チュートリアルとバリースミスによる"How to Build an Ontology"なるレクチャーが行われます.企業などでこれからオントロジーを作ろうなどと思っているかたには最適なプログラムです. 28日には内外の著名な先生方の発表がありますし,1日には溝口教授から上位オントロジーの話があります.これまで信頼のおける上位オントロジーがほしいと思っていたのですが,待望のものになりますね.また,OWL2の話もあります.これはセマンティックウェブ研究者にとっては聞き逃せません.一方,オントロジーの哲学的側面に興味ある方には,27日の併設のセッションが興味が持てるでしょう. すべて無料,27日にはレセプションも
【注意】 このドキュメントは、W3CのFrequently Asked Questions on W3C's Web Ontology Language (OWL)の和訳です。 このドキュメントの正式版はW3Cのサイト上にある英語版であり、このドキュメントには翻訳に起因する誤りがありえます。誤訳、誤植などのご指摘は、訳者までお願い致します。 First Update: 2005年6月25日 | Last Update: 2005年6月25日 問. オントロジーとは何ですか? 答. オントロジーの概念は、非常に長い間、哲学で扱われてきましたが、近年では、異なる語彙どうしの正確な関係づけを十分な精度で可能にするために指定される機械可読語彙のひとつとして認識されるようになってきています。 言語要件ドキュメントによると、より正確には、 オントロジーは、知識の一分野について記述し表現するために使用さ
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